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経費1万円で戻るのは、1,500円です|「経費で落ちる」は、タダという意味ではありません

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

12月に「経費で落ちるから」と買い物をしたことがある方だけ、読んでください。

レシートを1枚残らず記録している方には、この記事で取り戻せるものがありません。


目次

12月に、使わないものを買いました

12月の終わりです。同じ副業をしている人と話していて、こう言われました。

「今年の利益、出てるなら年内に何か買っておけば。経費で落ちるよ」

その日の夜、ネットで棚と、収納ケースと、少し良いラベルプリンタを買いました。合計で3万円ほど。

買った直後は、少しうれしかったです。 経費という言葉には、払っていないような響きがあります。

棚は、いま部屋の隅で空のままです。プリンタも、結局2回しか使っていません。

通るたびに目に入るので、少し気が重くなります。 使っていない棚は、置いてあるだけで責めてきます。

あとで計算して分かりました。あの3万円で戻ってきたのは、4,500円でした。


戻るのは、税率ぶんだけです

経費を1万円増やすと、その1万円が所得から引かれます。減るのは税金であって、出ていったお金ではありません。

減る税金は、所得税と住民税の合計です。

経費1万円で戻る金額
経費1万円で戻る金額

1,500円。 残りの8,500円は、本当に出ていきます。

「経費で落ちる」は、8,500円払って1,500円の割引を受けるという意味です。買う理由が「経費だから」だけなら、8,500円を捨てています。


戻る率は、あなたの税率で決まります

所得税の税率は、所得によって変わります。住民税10%を足した率が、そのまま「戻る率」になります。

税率別・経費1万円で戻る金額
税率別・経費1万円で戻る金額

税率5%の人なら15%、税率20%の人なら30%が戻ります。

それでも、半分には届きません。 どの税率でも、出ていくほうが多いという関係は変わりません。


使うより、拾うほうが効きます

ここで向きを変えます。すでに使ったお金を、経費として計上し忘れている場合です。

こちらは1円も新しく払わずに、税金だけが減ります。

拾い忘れの年間損失
拾い忘れの年間損失

月に5,000円ぶん拾い忘れていると、年60,000円。税率15%なら9,000円=8.9個ぶんを捨てていることになります。

経費は、使うものではなく拾うものです。

拾える候補は、すでに払っているものの中にあります。配送資材、納品送料、ツールの月額、通信費、仕入れに行った交通費。どれも新しい買い物ではありません。


ツール代の実質負担は、こうなります

拾える経費の中で、金額が大きくて確実なのがツールの月額です。

ツール代の実質負担と回収個数
ツール代の実質負担と回収個数

マカド月4,980円は、税率15%なら実質4,233円。当サイトでは「回収は月5個」と書いてきましたが、経費として計上すれば月4個になります。

払う額は変わりません。変わるのは、手元に残る額のほうです。


「レシートは全部経費」ではありません

ここが敵の正体です。財布に入っているレシートが、全部そのまま経費になるわけではありません。

国税庁の案内では、必要経費になるのは「総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額」と「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」とされています(国税庁 タックスアンサー No.2210)。

家事と兼用のもの(家事関連費)については、同じページにこう書かれています。

取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます

家事と兼用のものの扱い
家事と兼用のものの扱い

「明らかに区分できる場合」です。 自宅の電気代や通信費を按分するなら、区分の根拠を自分で説明できる状態にしておく必要があります。

そして忘れやすいのがもう1つ。仕入れた金額は、その年の経費になりません。 売れて初めて売上原価になります(確定申告の記事に書きました)。


10万円と30万円に、線があります

年末に道具を買うとき、金額で扱いが変わります。

取得価額による扱いの違い
取得価額による扱いの違い

10万円未満なら、その年に全額が必要経費になります(使用可能期間が1年未満のものも同じ)。

10万円以上20万円未満は一括償却資産として、3年間で3分の1ずつ。

そして青色申告者なら、10万円以上30万円未満のものを年300万円まで、その年に全額計上できる特例があります(令和11年3月31日までに取得したもの。国税庁 タックスアンサー No.2100)。

前の記事で出したプリンタ12,420円は10万円未満なので、買った年に全額です。12万円のパソコンだと、白色申告では3年に分かれます。


たしかに、記録は面倒です

ここで、あなたはこう思われたはずです。

「拾ったほうが得なのは分かるが、1枚ずつ記録するのが面倒だ」

そのとおりです。面倒なので、私も3月まで放置していました。

ただ、放置の値段は先ほど出ています。月5,000円の拾い忘れで、年9,000円。 そして3月に思い出そうとしても、半年前のレシートは何の支払いだったか分かりません。

記録していないものは、経費になりません。 使ったかどうかではなく、説明できるかどうかで決まります。


買い物より、面倒なのは変わりません

正直に書くと、12月に3万円を使ったあのとき、私は面倒から逃げていました。

レシートを整理するのは面倒です。でも買い物は簡単で、しかも「経費を増やした」という実感があります。

3万円使って4,500円戻る行為と、1年ぶんのレシートを拾って9,000円戻る行為。後者のほうが2倍得なのに、前者のほうが気分がいい。

気分と金額が逆を向いているとき、だいたい金額のほうが正しいです。

あのとき私が3万円で買っていたのは、棚でもプリンタでもありません。「今年もちゃんとやっている」という安心でした。それがいちばん高い買い物でした。


想像してみてください

来年の3月です。

申告の画面を開いて、経費の欄はもう埋まっています。 資材も、送料も、ツールの月額も、その日のうちに記録されていました。

12月に慌てて買ったものは、1つもありません。 買う必要がなかったからです。

戻ってきた金額は、去年より多い。新しく何かを買ったからではなく、去年は捨てていた9,000円を拾っただけです。

いま、その逆をやっています。12月に3万円使って、3月にレシートの箱を開けているほうです。


経費を拾う3手順

経費を拾う3手順
経費を拾う3手順
経費の扱い方を変えます
経費の扱い方を変えます

この記事のまとめ

  • 経費1万円で戻るのは税率ぶんだけ。税率5%なら1,500円、20%でも3,000円
  • 「経費で落ちる」=8,500円払って1,500円の割引。買う理由が経費だけなら損
  • 拾い忘れは同額の損。月5,000円で年9,000円=8.9個ぶん
  • ツール代は経費にすれば実質が下がる(マカドは月4,233円=回収4個)
  • 必要経費の範囲と家事関連費の条件は国税庁 No.2210。「明らかに区分できる場合」に限られる
  • 道具は10万円未満なら全額、10万円以上20万円未満は3年、青色なら30万円未満を年300万円まで

今日の1枚から、記録してください

拾えるかどうかは、記録が残っているかだけで決まります。使ったかどうかではありません。

そして記録は、その日のうちにしか正確に残せません。 3月の自分は、去年の9月に何を買ったかを思い出せません。

インボイスメモリーは、領収書の保存と記録を自動で片づけます。月2,980円で、当サイトの基準では月114件から手作業より安くなります。経費に計上すれば、実質は月2,533円です。

30日間は無料です。今日の1枚から入れておけば、来年3月に開くのは箱ではなく画面になります。

インボイスメモリーを30日間無料で試す(以降 月2,980円)

今日やることは1つです。財布のレシートを全部出して、今年ぶんを数えてください。 拾い忘れがいくらあるかは、その枚数で見当がつきます。


この記事の計算方法:経費による節税額 = 経費の金額 ×(所得税率 + 住民税率10%)。実質負担 = 支出額 −節税額。回収に必要な個数 = 実質負担 ÷ 1商品あたりの手残り。手残り1,050円・1個あたりの所得1,007円は当サイト共通の基準値、所得税率5〜23%・住民税率10%は仮定で、実際の税率は本業の給与を含めた課税所得で決まります。必要経費の範囲(「総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額」「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」)と家事関連費の条件(「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」)は国税庁 タックスアンサー No.2210、取得価額10万円未満の全額経費・10万円以上20万円未満の一括償却資産・青色申告者の少額減価償却資産の特例(30万円未満・年300万円まで・令和11年3月31日までの取得)は国税庁 タックスアンサー No.2100の記載(いずれも2026年9月時点)にもとづきます。何が必要経費に当たるか、家事関連費をどう区分するかは個別の事情で変わります。判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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