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メーカー直取引を「個人には無理だ」と思っている方に向けて書いています。
相手にされるかどうかの話ではありません。問い合わせに何を書くかの話です。
「会社名(必須)」で手が止まりました
平日の夜10時でした。
メーカーのサイトに「お取り扱いをご希望の方へ」というページがあり、フォームが置いてあります。
上から埋めていきました。氏名、メールアドレス、電話番号。
次が「会社名(必須)」でした。
屋号はあります。ただ、それを打ち込む手が止まりました。「これを見た瞬間に、相手は個人だと分かる」
そのままタブを閉じました。フォームを開いたのは、その夜が5回目です。
相乗りの値下げからは、抜けたいと思っていました。
同じ商品に出品者が増えて、価格が下がって、手残りが削れる。卸サイトで仕入れると、誰でも同じ原価で買えるので、これが止まりません(卸サイトの記事で計算しました)。
メーカーと直接つながれば、そこから抜けられる。それは分かっていました。
分かっていて、5回タブを閉じました。断られるのが嫌だったからです。
そして本当のところは、断られる以前に、書くべき数字を持っていないと思っていました。
メーカーが聞くのは、属性ではなく数量です
あとから気づいたのは、順番が逆だったことです。
問い合わせのあと、メーカーから聞かれるのは、だいたいこの3つです。
- 月にどれくらい売れる見込みですか
- どこで販売されますか
- 最低ロットは◯個ですが、大丈夫ですか
どれも、個人かどうかを聞いていません。 聞いているのは数量です。
そしてその数量は、あなたがすでに持っています。 計算していないだけです。
当サイトでは、ツールの元が取れ始める規模を月28個としています。上代3,000円の商品なら、こうなります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月商(上代ベース) | 84,000円 |
| 年商 | 1,008,000円 |
| 年間の仕入額(掛け率50%) | 504,000円 |

「年間50万円を仕入れる取引先です」と書けます。
メーカーから見れば大きくありません。それでもゼロではなく、数字です。 会社名の欄で止まっていたときは、これを一度も計算していませんでした。
最低ロットは「何ヶ月分の在庫か」に直します
問い合わせの返信で、いちばん詰まるのが最低ロットです。
「100個からです」と言われて、多いのか少ないのか分からない。
月28個で売っているなら、割ればいいだけでした。
| 最低ロット | 在庫の月数 | 年間の回転数 |
|---|---|---|
| 30個 | 1.1ヶ月 | 11.2回 |
| 50個 | 1.8ヶ月 | 6.7回 |
| 100個 | 3.6ヶ月 | 3.4回 |
| 200個 | 7.1ヶ月 | 1.7回 |
| 300個 | 10.7ヶ月 | 1.1回 |

あなたにとってのロット100個は、3.6ヶ月分の在庫です。
そして300個なら10.7ヶ月分。ほぼ1年、その資金が動きません。
「多いか少ないか」ではなく、「何ヶ月分か」で聞けば答えられます。
掛け率10ポイントより、ロット70個のほうが効きます
ここが、この記事でいちばん意外だったところです。
交渉すると聞くと、まず掛け率を下げてもらう話だと思っていました。実際には、ロットのほうが効きます。
資金効率で比べます。式はこうです。
資金効率 = (1個の手残り ÷ 仕入値) × 年間の回転数
| 条件 | 手残り | 回転数 | 資金効率 |
|---|---|---|---|
| 掛け率50% × ロット30個 | 623円 | 11.2回 | 465%/年 |
| 掛け率50% × ロット50個 | 623円 | 6.7回 | 279%/年 |
| 掛け率40% × ロット100個 | 923円 | 3.4回 | 258%/年 |
| 掛け率45% × ロット100個 | 773円 | 3.4回 | 192%/年 |
| 掛け率50% × ロット100個 | 623円 | 3.4回 | 140%/年 |
| 掛け率40% × ロット300個 | 923円 | 1.1回 | 86%/年 |

掛け率50%でロット30個のほうが、掛け率40%でロット100個より1.80倍効いています。
掛け率を10ポイント下げてもらうと、手残りは623円から923円へ1.48倍になります。それは確かに効きます。
ただし回転が3.3倍違うと、そちらが上回ります。
そして最悪の組み合わせは、掛け率40%でロット300個の86%でした。いちばん安く買えているのに、いちばん効率が悪い。掛け率50%・ロット30個の5.4分の1です。

あなたが安く買うことと、あなたの資金が働くことは、別の話でした。
発注額で見ても同じ形になります。
| 掛け率50%のとき | 発注額 | 資金の拘束 |
|---|---|---|
| ロット50個 | 75,000円 | 1.8ヶ月 |
| ロット100個 | 150,000円 | 3.6ヶ月 |
| ロット300個 | 450,000円 | 10.7ヶ月 |

ロット300個は45万円です。 あなたが出せるかどうか以前に、それが10.7ヶ月動かないほうが問題でした。
相乗りが減るとは限りません
反論しておきます。「メーカー直取引なら、相乗りされないのでは」
メーカー次第です。
販売者を限定しているメーカーなら、出品者が増えにくくなります。その場合、値下がりが止まるので増幅率の影響を受けません(売値が10%下がると手残りが40.7%減る、というあれです)。
一方で、誰にでも卸すメーカーなら、卸サイトと同じことが起きます。同じ原価の出品者が並び、価格が下がります。

問い合わせのときに、ここも聞けます。
| 聞くこと | 分かること |
|---|---|
| 販売チャネルの制限はありますか | 相乗りが増えるかどうか |
| 既存の取引先は何社ありますか | 同じ原価の出品者の数 |
| 最低ロットと発注間隔は | 資金の拘束期間 |

「直取引だから安定する」は、条件つきです。 あなたがその条件を聞かずに契約すると、卸サイトと同じ場所に戻ります。
3ヶ月後の夜10時を、想像してみてください
同じメーカーの、同じフォームです。
あなたは「会社名」の欄で止まりません。 屋号を打ち込んで、次に進みます。
備考欄に、3行書きます。
「月28個・年商100万円規模で販売しています」
「年間の仕入額は50万円前後を見込んでいます」
「最低ロットは30個からご相談できますでしょうか」
3行目が、この記事で計算した内容です。100個なら3.6ヶ月分、30個なら1.1ヶ月分。 その根拠を持ったうえで書いています。
送信します。5回閉じたフォームが、6回目で送信されます。
返信が来ても来なくても、次のメーカーには同じ3行が使えます。 数字は商品が変わっても変わりません。
あなたが変えたのは、会社名の欄を見るのをやめて、備考欄に数字を書いたことだけです。
いま、その逆をやっています。
フォームを開いて、会社名の欄を見て、閉じる。 それを5回やりました。
止まる理由は「個人だから」ではありませんでした。書く数字を持っていないと思い込んでいたからです。
必要なのは法人格ではありません。月に何個売れているかが、自分で言えることだけです。
問い合わせの前に出す3つ

- 月に何個売れているか(そこから年商と年間仕入額が出ます)
- 希望する最低ロット(月の個数 × 1〜2ヶ月分。月28個なら30〜50個)
- 仕入れの上限(Amazonの実売価格 − 手数料 − FBA − 1,050円)
3番目が出ると、あなたの掛け率交渉に根拠がつきます。 「安くしてください」ではなく「この価格までなら扱えます」と書けるからです。
会社名の欄は、この3つのどこにも出てきません。
よくある質問
Q. 個人事業主でも取引してもらえますか。
メーカー次第です。ただし問い合わせで聞かれるのは、月にどれくらい売れるか・どこで売るか・ロットは大丈夫かの3つで、どれも属性ではなく数量です。
Q. 何を書けばいいですか。
月の販売個数と、そこから出る年商・年間仕入額です。月28個・上代3,000円なら、年商1,008,000円・年間仕入504,000円(掛け率50%のとき)になります。
Q. 最低ロット100個は多いですか。
月28個なら3.6ヶ月分です。300個なら10.7ヶ月分で、資金がほぼ1年動きません。個数ではなく月数で判断してください。
Q. 掛け率とロット、どちらを交渉すべきですか。
ロットです。 掛け率50%×ロット30個は資金効率465%/年で、掛け率40%×ロット100個の258%の1.80倍あります。
Q. なぜロットのほうが効くのですか。
回転数が変わるからです。掛け率10ポイントで手残りは1.48倍になりますが、ロット100個→30個で回転は3.3倍になります。
Q. 直取引なら相乗りされませんか。
メーカー次第です。販売チャネルを限定していなければ、卸サイトと同じで同じ原価の出品者が並びます。問い合わせのときに確認してください。
Q. 仕入れの上限はどう出しますか。
Amazonの実売価格 − 販売手数料 − FBA配送代行 − 手残り1,050円です。この額を上代で割ると、必要な掛け率になります。
Q. 実売価格はどう調べますか。
その商品のバーコードを読むと、販売手数料を引いた想定手取りが出る無料アプリがあります。
次は、あなたが数字を出す番です
書く場所を変えるだけです。会社名の欄ではなく、備考欄に数字を書く。
- メーカーが聞くのは月の販売数・販売先・ロット。属性ではありません
- 月28個なら年商1,008,000円・年間仕入504,000円。もう持っている数字です
- 最低ロットは月数に直す。100個=3.6ヶ月分、300個=10.7ヶ月分
- 交渉すべきはロット。掛け率50%×30個(465%)は掛け率40%×100個(258%)の1.80倍
- いちばん安い掛け率40%×ロット300個は86%で、5.4分の1です
- 直取引でも相乗りは止まりません。 販売チャネルの制限を必ず聞いてください
マカド!の無料アプリ「マカド!リサーチ」は、契約不要・登録不要です。バーコードを読むと、販売手数料を引いた想定手取りがその場で出ます。そこから1,050円を引けば、仕入れの上限が出ます。
問い合わせを書く前に、その1つだけ出してください。「この価格までなら扱えます」と書けるようになります。
月28個を超えている方は、本体も判定の範囲に入ります。直取引は同じ商品を長く売り続けるので、価格改定の3分が同じSKUに何度も発生します。判定は仕入れ数別の記事へ。
この記事の計算方法:手残り = 売値 − 仕入値 − 販売手数料 − FBA配送代行手数料。資金効率 = (1個の手残り ÷ 仕入値) × 年間の回転数。年間の回転数 = 12 ÷ (最低ロット ÷ 月の販売個数)。販売手数料率(ホーム&キッチンは750円以下5%・超15.4%、最低販売手数料30円)とFBA配送代行手数料はAmazon公式の料金ページの記載(2026年9月時点)にもとづきます。販売手数料は税抜表示、FBA配送代行手数料は税込です。FBA区分を「標準・30cm以下・2kg以下・1,000円超415円」として計算しました。上代3,000円、掛け率と最低ロットの水準、発注間隔が在庫を売り切るタイミングと一致すること、上代どおりに売れることは、すべて当サイトが置いた仮定です。月28個・手残り1,050円・時給3,150円は当サイト共通の基準値です。メーカーから聞かれる項目、取引の可否、掛け率、最低ロット、販売チャネルの制限は、メーカーと商材によって大きく異なります。 実際の条件は各社にご確認ください。取引にあたっては、契約上の再販条件や販売チャネルの制限、商標権に注意してください。 FBA在庫保管手数料・返品費用・送料・振込手数料は含めていません。料金は変更されることがあります。最新の情報は公式ページとFBA料金シミュレーターでご確認ください。
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