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仕入れ値を下回る価格を入力して、送信せずに消したことがある方だけ、読んでください。
在庫が全部30日以内に売れている方には、この記事の判断は発生しません。
900円と入力して、消しました
3ヶ月前に仕入れた商品です。1,200円でした。
3,000円で出しています。動きません。同じ商品の最安値は、いま1,180円まで落ちています。
価格欄に「900」と入れてみました。指はそこで止まりました。
900円で売れば、1,200円で買ったものが900円になります。300円の損です。
しかも手数料が引かれるので、実際に残るのはもっと少ない。損を確定させる操作を、自分の手でやることになります。
それが嫌でした。数字が減ること自体より、自分で押すことのほうが嫌だったと思います。
消しました。3,000円のままにして、画面を閉じました。
この3ヶ月、毎月そうしています。
その300円は、損ではありません
先に結論を書きます。1,200円で買ったという事実は、いくらで売るかの判断に一切関係ありません。
その1,200円は、もう払い終わっています。900円で売っても、3,000円で売っても、置いたままでも、1,200円は戻ってきません。
いま決めているのは「損を出すかどうか」ではありません。「この先どうするか」だけです。
選択肢は2つです。
- 今日、いくらかで売って、現金に戻す
- 売れる日まで持ち続ける
比べるべきは、この2つが1ヶ月後にいくらになっているかです。仕入れ値は、どちらの計算にも出てきません。
1,200円は、1ヶ月で1,050円を産むはずでした
当サイトの基準では、仕入れ1,200円の商品は3,000円で売れて1,050円が残ります。30日回転なら、これが1ヶ月ごとに起きます。
割り算をします。

1,200円の資金は、1ヶ月で1,050円を産みます。
この数字が、この記事のすべてです。あなたの在庫に眠っている1,200円は、動いていれば毎月1,050円を作っていたはずのお金です。
それが3ヶ月止まっているということは、3,150円を作り損ねたということになります。
保管料の話より、桁が2つ違います。

保管料は、待つ費用の3.8%しかありません。 残りの96%は、止まった現金が働けなかったぶんです。
前の記事で「保管料は請求書ではなく時計だ」と書きました。ここでその意味が出ます。請求が来るのは41円で、実際に失っているのは1,072円です。
待つ月数で、今日の売値が決まります
ここから、実際に使う数字を出します。
「あと何ヶ月待てば3,000円で売れるか」を決めると、今日いくらで売れば同じ結果になるかが出ます。

読み方はこうです。
1ヶ月待って3,000円で売るのと、今日1,733円で売るのは、同じ結果になります。今日1,733円で売って現金1,178円を取り戻し、それで次を仕入れれば、1ヶ月後には2,209円になっているからです。
そして3ヶ月待つなら、今日1,034円で売るほうが得です。
1,034円は、仕入れ値1,200円を166円下回っています。

6ヶ月なら720円。12ヶ月なら521円。待つ期間が延びるほど、今日売ってよい価格は下がります。
「元値の1,200円で売れるまで待つ」という基準は、2ヶ月を超えた時点で成立しなくなります(等価価格が1,272円から1,034円へ、仕入れ値の下を通過します)。
「1ヶ月後に売れる」は、何割の話ですか
ここまでは、待てば必ず3,000円で売れるという前提で計算しました。
現実はそうではありません。3ヶ月動かなかった商品が、4ヶ月目に動く保証はありません。
売れる確率を掛けます。

7割の確率なら、1ヶ月待つのと同じなのは1,315円です。1,733円ではありません。
5割なら1,037円。1ヶ月待つだけで、もう仕入れ値を下回ります。
3ヶ月動かなかった商品の「次の1ヶ月で売れる確率」を、あなたは何割と見ますか。その答えがそのまま、今日の売値になります。
回転が遅い人ほど、急いで下げなくていい
ここまでの表は、30日回転の人の数字です。あなたの回転が違えば、線も動きます。
理由は単純で、資金が1ヶ月で作る利益の率が変わるからです。60日回転なら、同じ1,200円が1ヶ月で作るのは1,050円ではなく525円。率は87.5%から43.75%に下がります。

60日回転の人が3ヶ月待つのと同じなのは、1,428円です。30日回転の人の1,034円より394円高い。
つまり「損切りは早いほうがいい」は、全員に当てはまりません。 資金の回転が速い人ほど、在庫を止めているコストが高く、下げる線が下がります。
自分の回転日数が分からない方は、先に回転日数の記事を読んでください。この記事の表より、そちらが先です。
たしかに、赤字は帳簿に残ります
ここで、あなたはこう思われたはずです。
「置いておけば損は確定しない。売った瞬間に、赤字が数字として残る。」
そのとおりです。売れば、その1点の赤字は記録されます。
ただし、置いても損は止まっていません。 止まっているのは記録だけです。毎月1,050円ぶんの機会が消え、保管料が乗り、年末には係数が1.78倍になります。
帳簿がきれいなのと、現金が増えているのは、別のことです。
もうひとつあります。仕入れた金額は、売れて初めて経費になります(確定申告の記事に書きました)。売らずに持っている限り、その1,200円は経費にならず、期末在庫として残ります。
赤字で売ると、その差額はその年の損益に入ります。置いたままなら、損も計上されません。(税務の取り扱いはご自身の状況で変わります。判断は税理士または税務署にご確認ください。)
それでも、指は止まります
計算が出ても、押せません。私も押せませんでした。
理由は分かっています。900円で売ると、「あのとき仕入れを間違えた」ことが確定するからです。3,000円のまま置いておけば、まだ「そのうち売れる商品」でいられます。
守っているのは在庫ではありません。自分の判断が正しかったという記録のほうです。
認めるのが怖いというより、認めた瞬間に、次の仕入れが怖くなりそうで嫌なのだと思います。3ヶ月前の自分を否定した手で、今週末また店に行くことになるからです。
けれど実際に押してみると、何も起きませんでした。残ったのは、少し軽くなった在庫表と、口座に戻った現金だけです。
ここが抜けられると、残りは作業になります。
想像してみてください
3ヶ月後です。
在庫表に、3ヶ月より古い商品が1点もありません。全部どこかで現金に戻り、次の商品になっています。
そのうち何点かは、仕入れ値を下回る価格で売りました。 1点あたり200円や300円の赤字です。
それでも月の手残りは増えています。同じ資金が、3ヶ月で3回転したからです。1,200円が1回で1,050円を作るなら、3回で3,150円になります。200円の赤字を出した点があっても、まだ足りています。
そして何より、値下げの判断で指が止まる時間が、まるごと無くなっています。
いま、その逆をやっています。3ヶ月前の1点に、毎月同じ時間だけ悩んでいるほうです。
損切り価格の出し方

式は1行です。
今日の売値 ={(2,250円 − 保管料×N) × 売れる確率 ÷ (1 + 0.875×N) + 288円}÷ 0.846
Nは待つ月数です。0.875は、あなたの資金が1ヶ月で作る利益の率(手残り ÷ 仕入れ単価)。この2つを変えれば、あなたの数字になります。

この記事のまとめ
- 仕入れ値は判断に関係しない。もう払い終わっているから
- 1,200円の資金は1ヶ月で1,050円を産む(月87.5%)。止めた在庫はこれを捨てている
- 1ヶ月待つ費用は1,072円。うち保管料は41円(3.8%)
- 待つ月数に見合う今日の価格=1ヶ月1,733円 / 2ヶ月1,272円 / 3ヶ月1,034円 / 6ヶ月720円 / 12ヶ月521円
- 3ヶ月待つなら、仕入れ値を166円下回る1,034円で今日売るほうが得
- 売れる確率7割なら1ヶ月で1,315円、5割なら1,037円。確率を入れると、線はさらに上がる
今日中に、いちばん古い1点の値段を決めてください
損切り価格は、1回出して終わりではありません。相場が動けば、今日いくらで売れるかも動きます。
3ヶ月動かなかった商品は、たいてい最安値が少しずつ下がっています。昨日出した損切り価格は、今日にはもう高いということが起こります。
かといって、在庫全点の相場を毎日見て値を付け直すのは、兼業の夜には入りません。そこで止まって、また1ヶ月が過ぎます。
マカド!は、価格改定を自動で回します。当サイトの基準では、月4,980円の回収に必要なのは月5個です。最大2ヶ月は無料で、その間に古い在庫を落とし切るという使い方ができます。
今日やることは1つです。いちばん古い1点を開いて、「あと何ヶ月待つか」を先に決めてください。 価格は、そのあとに表から取れます。
この記事の計算方法:1ヶ月あたりの資金の生産性 = 1商品の手残り ÷ 仕入れ単価。今日Pで売ったときの手取り = P −(P × 販売手数料率)− FBA配送代行手数料。等価価格は「今日売って手取りをN ヶ月運用した結果」と「N ヶ月後に3,000円で売った手取りから保管料を引いた額」が一致する価格として求めています(式は本文に記載)。手残り1,050円・仕入れ1,200円・売値3,000円・30日回転・販売手数料15.4%・FBA配送代行288円は当サイト共通の基準値で、保管料41円/月は靴箱サイズ(7,200cm³)・1〜9月の係数5.676円で算出した仮定です。販売手数料の率はカテゴリーで変わり、保管料の係数は10月〜12月に変わります(Amazon公式の料金ページ・2026年9月時点)。売れる確率は読者が置く仮定であり、当サイトが推定した値ではありません。税務上の取り扱いは税理士または税務署にご確認ください。 料金は変更されることがあります。最新の情報は公式ページでご確認ください。
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