同じ型番を、30個まとめて仕入れました。
並行輸入のブランド品です。1個の手残りは4,625円。文房具を1個売ったときの4.4倍あります。
回転も速く、置けば売れます。「もう全部これでいいのでは」 と思い始めます。
実際、計算は合っています。月10万円をつくるのに、文房具なら96個。この商品なら22個で足ります。
そしてある日、セラーセントラルに通知が入ります。「知的財産権の侵害の申し立て」
正規の代理店から仕入れました。本物です。それでも、その商品は出品できなくなります。
この記事では、あなたの「本物であること」がどういう位置にあるかと、1つの商品に寄せたときに1件で止まる金額を出します。1ASINなら、月100,800円と在庫115,200円が同時に止まります。
「本物であること」は、3つのうちの1つです
先に、法律のほうを整理します。ただし当サイトは法的な判断ができません。 ここで書くのは「何が問われるとされているか」の枠組みだけです。
真正商品の並行輸入については、最高裁の判決(平成15年2月27日・いわゆるフレッドペリー事件)で示された枠組みが実務で参照されている、とされています。

3つあります。「外国で適法に商標が付されたか」は、そのうちの1つ目です。
2つ目は、外国の商標権者と日本の商標権者が同じ出所を示す関係にあるか。3つ目は、日本の商標権者が品質を管理しうる立場にあり、商品に実質的な差がないか。
あなたの「本物を仕入れた」は1つ目の話で、2つ目と3つ目は手元では判断できないことが多い部分です。
判決文は裁判所の裁判例検索で読めます。ただし当てはめは事案ごとなので、実際の判断は弁護士・弁理士にご相談ください。
判断する窓口は、3つあります
もう1つ、混ざりやすいところを分けておきます。

法的な適否を判断するのは裁判所です。出品を認めるかどうかを決めるのはAmazonで、こちらは自社の基準です。輸入できるかどうかは税関の話で、税関の知的財産ホームページに窓口があります。
あなたにとって、この3つは別々に動きます。 法的に適法とされる場合でも、Amazonが出品を止めることはあります。逆も同じです。
つまり「本物だから大丈夫」という一文には、3つの判断がまとめて入っていることになります。
旨味と集中は、同じ原因から来ています
ここからが、当サイトが数字で言える部分です。
並行輸入のブランド品が魅力的なのは、1個の手残りが大きいからです。

売値10,000円・仕入4,000円なら、1個の手残りは4,625円。文房具の1,050円の4.4倍です。
服&ファッション小物は3,000円までが12.4%、超えた分は8.4%に下がるので、単価が上がるほど率の面でも有利になります。
ただし、同じ月10万円をつくる個数は22個。96個の4.4分の1です。

ここが見落とされやすいところだと思います。1個の手残りが4.4倍になるということは、必要な個数が4.4分の1になるということでした。
そして個数が22個まで減ると、同じ型番をまとめ買いする形になりやすくなります。 22種類を探すより、当たった1種類を22個買うほうが早いからです。
旨味と集中は、別々の話ではありません。同じ計算の裏表です。
1つに寄せると、1件で全部が止まります
では、集中しているとどうなるか。
申し立ては商品単位で来るとされています。だから止まる金額は、あなたが何種類を扱っているかで決まります。

1件止まったときの損失 = 月の手残り ÷ 取扱ASIN数
1ASINなら月100,800円が丸ごと止まり、在庫115,200円も同時に動かなくなります。
10ASINなら10,080円。96ASINなら1,050円です。
当サイトのアカウント停止の記事では、止まっている1日は3,360円だと書きました。あれはアカウント全体の話でしたが、1商品でも、集中していれば同じ金額になります。
分母を増やすことだけが、この額を下げます。
数えるのは、種類の数ではありません
1つ前の表には、都合のいい前提が1つ入っていました。「均等に分散している」という前提です。
実際には偏ります。22種類扱っていても、そのうち1つで半分を売っていることはよくあります。

1件で止まる金額 = 月の手残り × 上位1商品の比率
上位1つが月の50%なら、種類が何個あっても50,400円が止まります。30%なら30,240円、10%なら10,080円です。
だから、あなたが数えるのは扱っているASINの数ではなく、上位1つが月の何%かのほうでした。
セラーセントラルの注文レポートで、ASINごとの販売数を出せば今日わかります。
「せっかく当たったASINを、手放したくない」
ここで、あなたの手が止まるはずです。
22個をまとめ買いできる商品は、簡単には見つかりません。回転が速くて、手残りが4,625円あって、仕入れも安定している。そういう商品を見つけたから、いまの月10万円があります。
それを「リスクだから」という理由で薄めると、1個あたりの手残りは落ちます。手残り2,561円の商品を混ぜれば、同じ10万円に40個必要になります。
「せっかく当たったのに」と思うのは自然です。その気持ちのほうは、正しいと思います。 実際、当たったASINを外す必要はありません。
あなたが増やすのは、外すことではなく足すことです。
分散のコストは、月3.5時間でした
足すコストを出します。
同じ22個を1ASINでまとめ買いするなら、リサーチは1回で済みます。同じ商品を追加で買うだけだからです。
22ASINに分けると、リサーチは22回になります。

増えるのは21回 × 10分 = 210分。月3.5時間です。時給3,150円で11,025円ぶん。
1つに寄せたまま止まったときの月100,800円と比べると、9.1倍の差があります。
ただし、これは「分散すれば止まらない」という意味ではありません。止まったときの金額が下がるだけです。そこは正直に書いておきます。
想像してみてください
来月、同じ通知が来ます。
「知的財産権の侵害の申し立て」。同じ文面で、同じ手続きです。
違うのは、その商品が月の売上に占める割合です。22種類のうちの1つなので、止まったのは月4,583円ぶん。全体の4.5%です。
在庫も5,236円ぶん。残りの21種類は、そのまま動いています。今月の入金予定は、ほとんど変わりません。
いま、この状況ではありません。1件で100%が止まります。 月100,800円と在庫115,200円が、同じ日に動かなくなります。
同じ通知、同じ商品です。違うのは、その商品の隣に何種類あるかだけでした。
正直に書いておくこと
4つあります。
1つ目。当サイトは法的な判断ができません。 3つの要件は「実務で参照されているとされる枠組み」として紹介したもので、当てはめは事案ごとです。弁護士・弁理士にご相談ください。
2つ目。Amazonが出品を認めるかどうかは、法的な適否とは別です。 基準には公開されていない部分があります。
3つ目。この記事は申し立てが来る確率を出していません。 誰にも分からないからです。出しているのは、来たときの金額だけです。
4つ目。分散しても止まらない保証はありません。 下がるのは、1件あたりの金額です。

3番目が抜けている説明が多いところです。数えるのはここで、判断は3つの窓口で。
勇気をもって、隣に1つ足してください
あなたがいま出せる数字は、これだけです。
- 「本物であること」は、実務で参照される3つの要件のうちの1つ
- 法的な適否・Amazonの出品可否・税関の判断は、3つとも別
- 並行輸入の1個の手残りは4,625円(文房具の4.4倍)。だから個数は22個(4.4分の1)
- 1件止まったときの損失 = 月の手残り ÷ 取扱ASIN数
- 1ASINなら月100,800円と在庫115,200円が同時に止まります
- 22ASINに分けるコストは月3.5時間(11,025円)。9.1倍の差です
当たったASINを外す必要はありません。隣に足すだけです。ただし足す種類のぶん、リサーチが増えます。
せど楽AI ベーシックは月5,980円の電脳リサーチツールです。当サイトの6,000円以下のツールの記事では、1,000円あたりに空く時間162分で7本中1位でした。月に直すと16.1時間ぶんで、上で出した3.5時間はこの中に収まります。
必要な3.5時間が11,025円ぶん、月額が5,980円。足す種類を増やすための道具として使えます。
せど楽AIで、隣の1種類を探す(ベーシック 月5,980円)
アカウントが止まったときの金額はアカウント停止の記事へ。電脳リサーチツールの比べ方は電脳せどりのツールの記事にまとめてあります。
この記事の範囲と計算方法:当サイトは法律の専門家ではなく、商標権に関する法的な判断を行うものではありません。 真正商品の並行輸入について本文で挙げた3つの要件は、最高裁の判決(平成15年2月27日・いわゆるフレッドペリー事件)で示された枠組みが実務で参照されているとされるものを要約したもので、個別の事案への当てはめは弁護士・弁理士にご相談ください。 判決文は裁判所の裁判例検索で確認できます。輸入の可否については税関の知的財産ホームページをご覧ください。Amazonが出品を認めるかどうかは自社の基準によるもので、法的な適否とは別に判断されます。 実際の対応はセラーセントラルのヘルプおよびテクニカルサポートでご確認ください。この記事は申し立てや出品停止が起こる確率を推定していません。 出しているのは、起きた場合の金額だけです。「分散すれば止まらない」という主張ではありません。 金額は当サイト共通の基準値(月10万円・手残り1,050円・1個20分・時給3,150円・回転30日・在庫115,200円)と、服&ファッション小物の販売手数料(750円以下5%、2,500円以下8.4%、3,000円以下12.4%、3,000円超は超過分8.4%)・FBA配送代行 標準30cm以下415円にもとづく試算です。仕入値は売値の40%として計算しました。これらは当サイトが置いた仮定です。販売手数料率とFBA配送代行手数料はAmazon公式の料金ページの記載(2026年9月時点)にもとづきます。料金と規約は変更されることがあります。
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